ネイルの就職、開業にはネイルの資格を何級とればいい?

ネイリストになる上で、ネイルの資格は必須というわけではありません。

しかし、ネイルサロンに就職したいとか、自分のお店を持ちたいと考えた時に、ネイルの資格を持っていると有利であったり、ネイリストとしての信用につながったりする場面があります。

「じゃあ、どんな資格があるといいの?」
「どのレベルまで持っていれば、仕事になるの?」
「ネイルの資格は取ったけど、本当にプロの世界で通用するの?」

などなど、疑問は尽きないかと思います。

実際、どんな資格のどんな級を持っていれば、ネイリストとして就職したり開業したりしていく上で必要な技術や知識が身に付くのでしょうか。

主なネイルの資格

ネイリストの資格試験は、主催する団体の違いで複数ありますが、今回は日本国内で知名度が高く取得人口が多いものを基準として考えてみましょう。

JNECネイリスト技能検定試験

公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が主催するネイリスト技能検定試験(以下、ネイリスト検定)は、「ネイリストとしての正しい技術と知識の向上」を目的としています。

試験科目は、ネイリストとしての正しい知識を問う『筆記』と、ネイリストとしての技術の習熟度をみる『実技』とがあり、両方に合格してはじめて資格取得となります。

階級は3級から1級まであり、3級から順に受験することになり、合格することで次の級に進めます。

ネイリストとしての総合力が問われる試験で、皮膚学の基礎から色彩学、ネイルに関する詳細な知識や、ネイルケア、カラー、アートやチップ、ラップ、スカルプチュアなどのネイリストとして身につけておくべきテクニックが正しく身についているかどうかを、階級に応じて異なる難易度によって問われます。

ネイリストとしての力をつけていくなら取得しておくべき資格と言えますね。

JNAジェルネイル技能検定試験

NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)が実施するジェルネイル技能検定試験(以下、ジェルネイル検定)は、「お客様が安心して施術を受けられる健全なジェルネイルの普及」を目的としています。

ネイリスト検定同様、『筆記』と『実技』とがありますが、ネイリスト検定に合格していると免除される課題があるので、両方受けるならまずはネイリスト検定からの方がいいでしょう。

階級は初級、中級、上級とあり、初級から順番に受けていくことになります。

基本的なネイルケア、カラーの技術に加え、ジェルネイルのカラーリングやジェルスカルプ、アートなど、ジェルネイルに関する基本的なテクニックが課題となっています。

近年のサロンワークではジェルネイルが主流となっているので、資格として持っていて損はないでしょう。

どこを目指してがんばるべき?

最初の段階はまだしも、上の級になるにつれてどんどん難しくなり合格率も低くなっていく検定試験。
ネイリストとして仕事をしていくためには、どこを目指していけばいいのでしょうか。

最低限のラインは「真ん中」

ネイリスト検定にしても、ジェルネイル検定にしても、プロとしてサロンワークで通用するレベルは、ネイリスト検定では「2級」、ジェルネイル検定では「中級」と運営者側は定義しています。

なので、その基準を参考にするならば、プロとしてネイルサロンに勤めたり開業したりするには、「真ん中」の級は最低限取得しておくべきであると言えるでしょう。

どうせなら「一番上」を目指して

とはいえ、実際にネイルサロンで働いたり、自分で独立したりしてネイリストとして仕事をしてきた立場として言うと、「真ん中」の級の内容ではまだまだ穴だらけで、いざお客様に施術すると対応できないことが山ほど出てきます。

現場感覚からすると、「一番上」の級まで取得できるぐらいになって初めてプロとしてサロンワークで必要な技術や知識が身についたように思います。

そこに更に、たくさんの施術をこなしていくことで身につく「経験値」が加わって、プロのネイリストとして自信を持って仕事していけます。

なので、どうせ資格取得をするなら、「一番上」を目指して勉強し練習を重ねることが、就職や独立開業への道筋として、遠いようで近いのではないかと思います。

持っておくとプラスになるかもしれない資格

ネイリスト検定やジェルネイル検定以外にも、ネイルに関係する資格や別ジャンルの資格で、接客や施術において活用できる資格があります。

ネイルサロン衛生管理士

JNAが制定した「ネイルサロンにおける衛生管理自主基準」の普及を目的として制定された資格です。

自分のネイルサロンをJNA認定サロンにしたい人や、JNAの認定講師になりたい人にとっては必須の資格ですが、それ以外の人は持っていてもいなくても支障はありません。

衛生管理に関しては、しっかり勉強して正しい知識を身につけ、施術の現場できちんと実践できていればそれでオッケーです。

わかりやすいメリットとしては、ネイルサロンに認定証を掲げておくことで、衛生管理にも気を配っていますというアピールにはなるかもしれません。

各ジェルメーカーのディプロマ

各ジェルメーカーが発行しているディプロマ(認定証)を取得するのも、スキルアップや信用獲得に役立ちます。
そのメーカーの製品に対する理解が深まり、自分自身の勉強にもなります。

そうして身につけた知識や技術によって、お客様への提案内容やご質問に対する回答も専門的になってくるので、ネイリストとしての幅がひろがります。

ネイルと直接的に関係のない資格も話題のひとつに

一見ネイルと関係のなさそうな資格であっても、サロンワークで役立つことがあります。

例えば、色彩能力検定を取得していると、ジェルやポリッシュ、アートの配色など、お客様へのカラーのご提案が感覚的なものではなく知識に基づいた確かなものになります。

食育アドバイザーの資格を持っていれば、お子さまやご家族のお食事のことについて話が盛り上がるかもしれませんし、ファイナンシャルプランナーの資格を持っていれば、お客様が抱えていらっしゃるお悩み解決のきっかけをつくれるかもしれません。

どんな資格であっても、専門的な知識や技術を持っていることで、お客様と一対一で向き合う時間の長いネイルの施術において、話題として使えます。

そしてお話をしつつ何かのお役に立てることによって、お客様との距離を縮める上でいいきっかけになるかもしれませんね。

資格を取るのはゴールではなくスタート

資格取得に向けての勉強や練習はとても大変ですし、ましてや仕事や家事育児をしながらしようとすると、本当に睡眠時間を削っての大仕事になってきます。

その大変さもあって、資格を取ることそのものが目的のようになってしまったり、資格を持っていることで自分が強くなったように感じ安心感を得るためにむやみに資格を取ったりと、「何のために資格を取るのか」という大切な部分を見失ってしまうことがあるので要注意です。

ネイルの資格は車の免許と一緒!

普通自動車免許をお持ちの方ならイメージしやすいかと思いますが、免許を取っても、一般道で運転するのって緊張しますし、最初は上手く運転できないですよね。

慣れるまでは車通りの少ない道路で運転したり、空いている駐車場で枠内に停める練習をしたり、近所を何度も走って慣れてきたら少しずつ範囲を広げて練習したり…。

そうしているうちに上達していって、どんな道でも走れてどんな場所でも停まれるようになります。
起こりうるトラブルも予測して未然に防げるようになります。

ネイルの資格も、これと同じです。資格を取っても、それはまだスタートラインに立っただけです。
最初は自分ができる簡単な内容を、たくさんの人の手に繰り返し施術し、自分で苦手なところを克服するために練習します。

そして少しずつ難しい施術にチャレンジしていき新しい技術を身につけていくことで、プロとしてどんなお客様にもどんな状況にも対応できるようになります。

基本を「正しく」学ぶことが本来の目的

資格は、取ることが目的なのではなく、「正しい」知識や技術を学ぶことが大切な目的です。

ネイルの施術は独学で学ぶこともできますし、資格を持たなくてもお客様に施術できます。
とは言え、人の手に直接触れ施術をする上で、曖昧な知識や間違った技術で施術するのは大変危険です。
お客様のお爪や皮膚にダメージを与えたり不快な思いをさせたりしてしまうことで、クレームや賠償問題にまで発展する可能性だってあります。

そうならないためにも、「正しい」知識と技術を身につけておく必要があります。

たかが資格 されど資格

じゃあ正しい知識や技術を自分で身につけられるなら資格は取らなくてもいいのか、高いお金を出して取る意味はあるのかという話になりそうですね。

安心して下さい。頑張って取る意味は、あります。

一言で言うなら、資格は「目に見えないものを『見える化』してくれる」ものです。

例えば、目の前の人が優れたネイリストであったとしても、黙って立っているその人がどんな技術を持っているのか、どんなことができるのかは知りようがありません。

ですが、仮にその人が「ネイリスト検定1級を持っています」と言うと、ネイリスト検定の存在や内容を知っている人であれば、「なるほど、このぐらいのレベルの技術は身についているんだな。」「このぐらいの知識は持っているんだな。」ということがわかります。

ネイリスト検定のことを全く知らない人でも、「1級っていうからには上手な人なのかもしれない。」という印象を持つかもしれません。

そこに、ネイルの資格を持っていることのメリットがあります。

ネイルサロンに就職しようとする時、履歴書に持っている資格を書いておくだけで、どんなレベルの技術者であるかが伝わります。
自分でお店を開く時、肩書きのひとつとして載せておくだけで、一定の信頼は得られます。

たかが資格。されど資格。

資格がなくてもネイリストにはなれますが、資格があることでネイリストとしての存在感を示すことができるようになるのです。

まとめ

ネイリストとして就職したり、開業したりするために資格を取るなら、次のことを頭の片隅に入れておきましょう。

資格を取るなら、最低でも「真ん中」の級を取る。
実際に使い物になるのは「一番上」の級を取れるレベルになってから。
自分の趣味や興味のあることで取る資格も役に立つ。
資格は取ることが目的ではない。正しい技術と知識を身につけるためのもの。
資格を取る=スタートライン。勝負はここから。
ネイルの資格は信用と技術レベルの証明書。

ネイリストの仕事は、接客業であり技術職です。
繰り返し練習し、経験を重ねることで上達していきます。

ネイリストの資格を取ったら、その武器を上手に使いながら、ネイリストとして更に上を目指していきましょうね。

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